前にも載せていた作品。
実在する風景はあまり描かないのだけど、これは数年前の自宅の朝の風景。
当たり前にやってくる朝を眺めて描きたくなった。
我が者顔でやってくる
その前の夜がどんな夜であっても。
ズケズケと。ありがたいことに。
久しぶりに作品のテーマを見つめ直している今日この頃、
思いにふけながら読み返した、谷川俊太郎さんの好きな詩。
この絵に偶然にもピッタリで驚き、共鳴したことを思い出す。
「朝のかたち」
昨夜から思いつめていたことが
果てのない荒野のように夢に現れ
その夢の途中で目覚ましが鳴った
硝子戸の向こうで犬が尾を振り
卓の上のコップにななめに陽が射し
そこに朝があった
朝はその日も光だった
おそろしいほど鮮やかに
魂のすみずみまで照らし出され
私はもう自分に嘘がつけなかった
私は<おはよう>と言い
その言葉が私を守ってくれるのを感じた
朝がそこにあった
蛇口から冷たい水がほとばしり
味噌汁のにおいが部屋に満ち
国中の道で人々は一心に歩み
幸せよりたしかに希望よりまぶしく
私は朝のかたちを見た
ciao ciao