2022年3月2日水曜日

自分らしい生活。

 

今回は人生で何度体験できるか分からない貴重な体験を綴っていこうと思います。

お題の通りですが、”自分らしい生活" を今楽しんでいます。

多くの人が体験したようにこの二年、特にこの3ヶ月ほどは自分のアイデンティティを再確認する良い機会になりました。日本はロックダウンや欧米ほどの厳しい規制がないので、説明してもあまり伝わらないかもしれまんが、うーん・・・・キツかったな〜ぁ。という感想です。

特に最後の数ヶ月。

ここ3ヶ月程スイスは2Gという規制がかかっており、各所でワクチン接種証明もしくはコロナ回復者のみが持っている証明書の提示が義務化されていました。未接種な私は飲食店はもちろん、公的な施設への立ち入りができない状態でした。

2月17日にスイスは証明書提示・マスク着用義務を解除したのですが、その前後の心境の変化が自分でも興味深かったです。

私の住んでいる街には象徴的な図書館があります。その昔は100年ほど街の郵便局として活躍していた古い建物。現在は図書館に生まれ変わって市民の憩いの場となっています。

ここで月に二回「ドイツ語で話そうの会」が無料で開催されているので何度か参加していたのですが、規制でずっと行けず。久しぶりに本日参加してきました。モロッコ、コロンビア、アメリカ、イスラエルなどなど。全員と話せていないのですが、以前よりも参加者が増えていて大盛りあがりでした。

色々な国の人々と話をしてみると、地球にはなんていい人が多いんだろうかと毎回感じます。あと、皆さんドイツ語を一生懸命勉強している方ばかりなので気持ちも通じやすかったり。仲間意識が芽生えるんでしょうね。私が知らない単語を知っていたり、誰かが間違えてそこで自分も学べたり、いいことばかり。私は数ヶ月間、家族以外の人と会話をすることが殆どなかったので、今日は水を得た魚のように会話を楽しみました。

あと先日は美術館へ行ってきました。チューリッヒにあるクンストハウス!10年前にスイスに住んでいた頃もよく訪れていて、好きな作家の作品から毎回勇気をもらっていた思い入れの強い美術館です。美術館賞も自分の生活には欠かせないルーティンの1つだったので、作品を見ながらやっと自分を取り戻せた感覚が走りました。それ以外の方法では満たせない視覚からくる幸福感。

そしてもう一つの久しぶりは店内飲食です。当たり前だった行為ですが、改めて感じる接客されることの喜び。ゆっくりお気に入りのカフェでカプチーノとクロワッサンを楽しめる時間は本当に至福だなぁと身に染みました。

色々な人と交流すること。

美しい作品を見ること。

好きな空間で食事をすること。

この3つは私に必要な重要要素でした。自分で選択している道なのでモチロン納得して生活はしているのですが、生活からオフラインの文化的な交流や体験を排除するとここまで自分らしさが失われていくのかーと再確認。

まだ国によってはヨーロッパもさらに厳しい方向へ進んでいるところもあるので、本当に大変だろうなと思います。この二年間で垣間見れたスイス政府の柔軟性やスイス国民の同調圧力の割と低い感じも素敵だな、と改めてスイスが好きになった体験でもありました。

なかなか無い貴重な体験。キツいと言いつつもたっぷりと内観できたので、ありがたい期間でした。

日本もまだ少し先なのかもしれませんが、数ヶ月後にはきっといい場所に辿りついていると願っています。

ciao ciao.

2022年1月10日月曜日

POP-UP個展 in スイス

 

2022年あけましておめでとうございます。

あっという間にスイスに暮らして一年半が経ちました。 徐々に生活に慣れてきて、久しぶりに味わった引越し当初の緊張感は無くなってきました。

今回は昨年11月にスイスで個展をした時の振り返りをしておこうと思います。

 


Pink Zyklus

 

会場は私の暮らすスイスの小さな街Churにある丘の上の一戸建て。知り合いのアートキュレーター、サンドラの所有する一軒家を丸ごとお借りしました。部屋数も多く広いので、今までの個展の中でも作品の種類が多い展示となりました。

サンドラは以前この街にギャラリーをもっており、10年前に一度そちらで個展をさせてもらった事があります。スイスに帰ってきたことをメールで報告するとすぐに会うことになり、現在はフリーランスのキュレーターとして働いていると教えてくれました。私が日本で制作した約10年分のポートフォリを見せると、とても感動してくれました。

そして彼女の粋な計らいで、再びこの街でPOP-UPという形で作品発表をすることに。とてもありがたい提案でした。この話をいただいて、まず私が思ったのは「やりたい事楽しみながら思い切りやろう」でした。

 

Post it collage
 

Eindrücke

 

Meguru Mawaru
 

Monatliche Szenen in Chur

 

庭にはピンク色に着色した水が入った水飲み場とピンクのスライムボールを使用したインスタレーション。

玄関のコラージュを通過して、一階には人の顔をモチーフにした大きめのキャンバス作品。

階段の小さなドローイングを眺めながら二階へ。二階には一年間月ごとにテーマを決めて描いたドローイングを月二枚ごとに設置。合計24枚。

 


Schlafzimmer zum umdenken
 

最後に地下一階の寝室にはドイツ語で両面に単語を描いたカードを部屋中に吊るしました。この裏表に書かれた単語は日々私が関係性の強いと思っている言葉たちです。例えば〝興味 - 反応〟や〝感謝 - 利他的〟だったり。

 広い会場だったので同じ調子の作品を並べる事は避けたいと思い、言葉を使った作品を初めて発表してみました。日本人がそもそも少ないこの街で一体このアーティストがどんな視点で物事を見ているのか・・という自己紹介的な場面を作ってみたく挑戦しました。恐らく日本であれば作っていなかった作品だと思います。鑑賞した方達も一番感想を言ってくれて、長い時間この部屋に止まって楽しんでくれた事が印象的でした。

平日は一人で待機し軽い会場内の作品案内や接客、販売まで自分で行う形でしたので開催前は私のドイツ語で大丈夫かな?と不安もありましたが、特に問題も発生せず無事に終える事ができたので本当にホッとしました。コロナ禍での開催で平日の訪問は少なめでしたが、初日のオープニングとクロージングは沢山の方に足を運んでもらいコミュニケーションをとれたので良かったです。

 

 

 一軒家個展。思い返してみれば福岡でも自宅で一度開催したので規模が違えど二度目・・・。ホワイトキューブに比べて設置のし辛さもありますが、アイデア次第でなかなか面白い会場になってくれます。

 さて、次回はどこで展示できるかな?

やっぱり、ギャラリーがいいな。

またこちらでギャラリーを回って、作品を見てもらって地道に進んでいくのみです!

 

ciao ciao