2020年2月6日木曜日

『おとない - Sound Visit - 展』振り返り。









 "Drawing maker"
おとない -Sound/Visit- 展 2020.1.15~1.19
出品作家:生島国宜、Eri Tsutsumy、城一裕、duenn、monogs
主催:福岡県立美術館、おとない展実行委員会
助成:公益財団法人 福岡文化財団

 2020年、年明け早々に福岡県立美術館の企画展に参加させていただきました。
 今回は大きなブラックボックス。キャスター付きの立体作品です。
最初に企画のお話をいただいた時に「音」がテーマという事でしたので、
サウンド系の作品とどのように混ざり合い、自分なりに表現しようか少し悩みました。

兼ねてから趣味的な位置で続けていた日々のドローイング画。
今回はこれを取り入れ”音を描き記録する有人機械” を制作しました。
会場内の音や声などを拾ってドローイングを描き、
BOX中から外へ5日間の音の記録を撒いてゆきました。

また、美術館2階から覗くとBOX内でチマチマ、ゴソゴソと描くその様子を
覗ける作りにしてみました。

美術館ということもあり、様々なジャンルと年齢層の方にお越しいただきました。
印象的だったのは、視覚障害がある子供たちが先生ときてくれて
一緒に展示をしていた城さんの陶器のレコードを嬉しそうに聴いていたことです。
数年前から個人的に、視覚障害や盲ろう障害がある方にとっての「芸術」
「Unseen Art」について考える機会が増えてきました。
私はライブドローイング中だったのでお話ができず・・・でしたが
喜んで帰って行った姿を見て、今回の展示に参加ができた事を幸せに感じました。

他にも、最終日にきてくれた子供達の反応も興味深かったです。
今回はインスタレーションのような展示だったので、
私が撒いたドローイングは床に何百枚もあり、踏んでもOKとしました。
それでも、大人達はアート作品という意識で
極力気を使って紙を避けて会場内を歩くのですが、
子供は紙と紙が触れる音が落ち葉を踏むように聞こえるらしく、
気持ちよくなりどんどんと踏んでいきます。
終いにはビリビリに破いて遊ぶ・・・紙飛行機にしてみる・・・頭にのせてみる・・。
描かれた線や色自体に興味を示すのは中学生以上のようでした。
そんな世代別のアートとの関わりの違いもBOXの中で時々観察をして楽しんでいました。

また、賛否のご意見があったようで特に私の作品はアートを床に撒いて
なおかつ踏んでいいなんて・・・と批判のご意見もあったようです。
様々な思いを抱いて作品を鑑賞してもらう、作家にとっては喜ばしい現象です。

今回は図面ひきから始まり、素材の相談、制作の指導までWald art studioの森さんには大変お世話になりました。
そんなスーパーサポーターが福岡で身近にいることに感謝です。

また、今回キュレーションを行なってくださった県美の学芸員の藤本さん。
こういったチャレンジできる機会を設けていただいてありがたかったです。
プロフェッショナルな美術の現場を間近で拝見でき、貴重な時間となりました。

 さてさて、また日々の制作に戻っていこうと思います。

ciao ciao